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眼鏡「……………………」
一体どこから取り出したんだといわんばかりの大量の枕が、二人の間を飛び交う。
緑黄色青黒ピンク、たまにどマイナーなヒーローが描かれた枕までもが吹っ飛んでいく。
餓鬼「……ハンサムマン……」
始めはしょんぼりと見ていたコンだったが、
次第にヒートアップする枕投げ(そう、どれだけ白熱していてもそれは所詮枕投げなのだ)にうずうずしだした。
そしてやはりどこからか、可愛らしいアニメヒーローが描かれた枕を取り出し、コヨーテの背中めがけてぶん投げた。
盗人「!?」
餓鬼「当たったっ!!」
完全にダンとの試合(これは殺死合に非ず)に熱中していたコヨーテが、不意をつかれてよろめいた。
そして、振り返って一言。
盗人「何でお前まで投げるんじゃ!!」
餓鬼「え??だって……」
暴君「取った!!」
その瞬間、ダンがガルシアンの枕(因みに低反発枕)をむんずとつかみ、コヨーテの頭へと投げつけた。
慌てて振り向いた所に第二段。
がすっ、と角が額に当たり、為すすべなくコヨーテが吹っ飛んだ。
暴君「よし、コン。や(殺)っちまえ!」
その言葉に、普段遊んでと言っても
『あぁ!?』(注:チンピラ風に)だの『今忙しいんだ』だの言われて
滅多に構ってもらえないコンの悪戯心に火がついた。
餓鬼「えいっ!」
どすんっ!!
盗人「ごはっ!!」
で、吹っ飛ぶ首。
餓鬼「……あ、あれ?(汗)」
暴君「(良く殺った、コン)」
三番目ぐらいに慕う男が紙袋と化し、コンは本気で戸惑ったようにあたりを見回した。
遠くの方でひっそりダンがガッツポーズを取ったのは、この際気付かなかった事にした。
業者「…………お前達……寝るときぐらいは静かにしろ……」
戸締り点検をした後に、(何故か)ハーマンの車椅子を押してやってきたガルシアンは、
中の惨状に頭を抱えた。あたりに散らかる枕の山。
気がついたらケヴィンはおらず、騒ぎの元凶ともいえるカエデは相変わらず熟睡中。
そして、何故か転がる紙袋。
ちっ、と舌打ちをしつつ暴君は布団に潜り、
コンはベットを取られたままだった為、騒ぎを終始微妙な顔で静観してた、
一番目に慕う男の布団へもぐりこむ事にした。
餓鬼「マスクマスク、今日一緒に寝て良い?ベット、カエデに取られて寝る場所無いんだ」
覆面「僕の所で良いなら、好きに使うと良い。……だが、明日になったらちゃんとコヨーテに謝るんだ。いいね?」
餓鬼「うん!……じゃぁ、おやすみなさい」
覆面「あぁ、おやすみ」
で、余談。
休む間も無く紙袋を回収し、今蘇生させたら確実にダンと血で血を洗う喧嘩になるため、
可哀想だと思いながらも結局コヨーテを蘇生させぬまま戻ってきたガルシアンが、
枕片手にハーマンを狙うダンにうっかりキレ、その後頭部に枕をぶん投げたのは別の話。
そして翌日。
ケヴィンは部屋の片隅にて、愛用の巨大テディの下に埋もれている姿を発見された。